瓜連まちの風土記 第3巻
瓜連のまちと常福寺
【手づくり家具工房ログフォート】 木で夢をつくる博物館 こだわりオヤジの熱い思いと匠の 魔法に出あえば、我が家を幸せに しつらえるヒントがみつかる |
|
◆材木商を営む木のコトに精通した目利きが、独学で技をみがき木のクラフトマンになった。 ◆奥さんが運営する木の雑貨のお店ログフォートはいうまでもなく、店内のすべての家具は彼のオリジナル作品である。 ◆木の目利きとクラフトマンの特技をかねそなえた学芸員が世界中でたった一つしかない幸せのカタチをみせ、語ってくれる。 ◆こだわり職人のオールバイマイセルフミュージアムである。 |
瓜連駅から歩いて数分のところに、 立派なログハウスが建っている。 一歩足を踏み入れると、 そこには、手づくり家具と おしゃれな雑貨が並んでいる。 お店の名前は、「ログフォート」という。 こちらでクラフトマンとして活躍している ご主人にお話を聞かせていただいた。 |
|
「ログフォート」は、 1995年5月3日に開業した。 「ログフォート」という店の名は、 ログハウスが砦(とりで)に見えたことから 「丸太の砦」という意味で名づけた。 |
|
店内は丸太の壁を上手く活かして 商品陳列やディスプレイがなされている。 商品を陳列するために使われている棚も、 彼の手づくりである。 |
|
雑貨屋の一角には、 彼の手づくり製品が並ぶ。 私は、壁にかかっている時計が気になった。 長針と短針はあるが、 一から十二の数字がない。 私は、自分にあった一つのモノを見つける ために、時間は必要ないというメッセージを 感じとっていた。 |
|
買い物を楽しませてくれる 店内のBGMには、 彼の大好きなジャズが流れる。 そのジャズを聴くために スピーカーを作ったのが 木工製品製作のはじまりである。 |
|
隣にある青い建物の木工館は、 彼の作業場である。 材木商を営みながら、 そのまなざしをいかして、 木工製品づくりに挑戦した。 新しい知と出あいながら、 技を磨きあげ、 好きなことをシゴトにしてしまった。 |
|
普段は無口で職人気質の彼は、 手づくり家具をつくる やりがいを語ると熱くなる。 「作った製品を納品したとき、 お客さんの喜んでいる姿にふれ 満足した顔を見るとうれしくなる」 |
|
木に注ぎ込む彼の愛情は限りなく深く、 木工製品の素晴らしさについて 語りはじめたら止まらなくなる。 「無垢の家具は、使い込むことで つやがでたり、色に深みがでて、 価値あるものになる。 そして、強度も強いから、 何代にも渡って使うことができる。」 |
|
木から家具へと加工する技術とそこから 実際に家具に仕立てる知識と技術は、頭で 理解してもうまくいかない。なぜなら、 自然素材の材木は、育った条件で、個性が ちがい、毎日の気象条件でその都度変化 してしまうからである。 それに加え、木の温もりをいかした心地の 良い家具をつくるためには、お客さんの 生活シーンをイメージしなければならない。 |
|
それゆえ、自然素材の家具づくりには、 経験と試行錯誤の積み重ねが必要になる。 彼の木工製品のこだわりは、合板や修正材 は使わず、無垢の材料の特徴をいかし、 オーダーメイドでつくりあげることにある。 店の開店を示す掛け看板や工房にある ギターを持つ人の置物も、彼が、切り抜いて つくったものである。その技術とデザイン には目を見張るものがある。 |
|
パイプタバコを吸う姿がダンディな彼は、 時折見せる笑顔がとても印象的だ。 「まちを元気にするために、 何かできたらと 思うよ。 なかなか難しいけどね。」 瓜連の未来を語っているときに 見せてくれた笑顔がとてもステキだった。 |
|
緊張した空気がただよう中、 すぐそばで鳥が鳴く声がきこえてきた。 その声が気になった彼は立ちあがって あたりを探し歩いた。 すると、ストーブを囲む板と壁の間で 抜け出せなくなっている小鳥を見つけた。 小鳥にやさしくほほ笑みながら声をかけた。 「そんなところにいたのか。大丈夫か」 |
|
今までの緊張はどこにいったのか、 その場の空気が和んだ。 この時、やさしい心とほほ笑みに 木と同じような温もりを感じた。 人から感じ取れる「ぬくもり」が、 あたたかみあるモノづくりに 活かされている。 |
木工クラブログフォート 〒319-2102 茨城県那珂市瓜連796 電話:029-296-3800 FAX:029-296-3801 Eメール:mail@logfort.jp |
2015年3月20日 発行