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瓜連まちの風土記 第13巻

瓜連まちの風土記 第13巻

らぽーると瓜連小学校

 

【素鵞神社(お天王さん)】
幸せがまいおりる鎮守の森

 人を集め、結び、人がつくる森の
 チカラがみえてくる
『第13巻』の画像
◆素戔嗚命(すさのおのみこ)がまつられている素鵞神社(そがじんじゃ)は、瓜連の中心市街地にある鎮守の森で、疫病を退治する
「お天王さん」と親しまれてきた。瓜連城の堀跡や土塁のあとがきざみこまれたうっそうとした森に足をふみいれれば、あらゆる生命が
かがやき、宿り、育まれる森の神秘を感じることができる。この土地に生きてきた人々はなぜ、あらゆる生命が宿り、育まれる鎮守の森
をつくり、それを守ろうとしてきたのか。人々が鎮守の森と神社をつくり、守ろうとした暮らしのカタチがみえてくる。

瓜連小学校を過ぎると、前方にうっそうとした
森があるのが見えてきた。

その森をめざして道をすすんでいく。すると、
あたりはいっそう静けさをましていく。

森が近づくにつれ、あっちの世界の入り口に
入ってしまうのではという気配がますます
強くなる。
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森の奥にまなざしを向けてみる。

黒い森を背景にして小さな鳥居と小さな
お社があるのがみえてきた。
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そして、鎮守の森に足をふみいれると、
雰囲気は一変した。

ちがった世界にとびこんでしまった私は、
時が失われたような感覚におちいって
しまった。
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黒く深い森は、人をそういう気にさせる
不思議なチカラがある。

森をのぞきこむと、横向きになっている
お社が目にはいった。
 

ずいぶんカタチの変わった神社だと思い
ながらあたりを見まわすと、どうやら私たちは
裏道から神社に入ってきてしまったらしい
そのことにはじめて気がついた。
 

そして、お社を迂回して正面へと向かい、
振り返ってもう一度この神社を見直してみた。

そこには立派な鳥居が立ち、鎮守の森を
背にして、堂々と建っているお社がしっかりと
みえてきた。

その見事な風格に感心させられた。
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大きな鳥居をくぐり、再び神社の中へと歩み
を進めた私は、手水舎でお浄めをすませ、
参拝をした。

拍手を打つと、その音は森にひびきわたり、
ますます心が清められる。
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この鎮守の森には、幹の太いご神木が
たくさんある。

はるか空高くそびえるそれらの木々は、
何十年あるいは何百年と、この森に立って
いると考えると、ますます威厳を感じてしまう。
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はじめに入ってきた道とは反対側に伸びる
お社の横の道へと入っていった。
そこを進んでいくと先ほどよりも、茂る森の
中がよく見える。

そこでは、背の高い木々に明るい太陽の光が
さえぎられ、木漏れ日が差し込んでいる。
うっそうとしていて薄暗く感じられていた
鎮守の森は、とても優しく、神秘的な空間に
なっているのが実感できた。
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森の中を歩いてみる。

木漏れ日に照らされながらいくつもの境内
社が見て取れる。

きれいにされている一つ一つの境内社から
この土地の人々がこの森を守ってきたこと
が伝わってくる。
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鎮守の森は昔からこの土地にあったの
だろう。

そして、それと同じだけの時間この土地で
生活する人々はこの森を守ってきた。
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森を守ってきた人々に思いを馳せたとき
うっそうとしている森は美しい森にみえる。

そこに、鎮守の森が持つ魅力がある。
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素鵞神社(お天王さん)とは
瓜連城址の西隅に位置し、うっそうとした鎮守の森を形成している境内には、堀跡、土塁跡が刻み込まれている。
祭神は、素戔嗚命(すさのおのみこ)で、大同8(806)年に創建された。永禄2(1559)年に佐竹義昭が修営し、
天明8(1788)年に再興したのが現在の社殿である。
境内には、八幡宮、五蔵王神、稲荷神社、富士神社、天神宮、湯殿神社、鹿島、静神社、白山神社の8社が
まつられている。

 
 2015年3月20日 発行

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