瓜連まちの風土記 第18巻
らぽーると瓜連小学校
【瓜連生活弁当】 ふるさとの恵みと知恵が つまった宝の箱 世界でたった一つの瓜連の 大地の恵みの博物館 |
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◆農家のお母さんたちが、その日、瓜連の大地で採れた恵みを楽しく味わい、元気になれるようにとの願いをこめてつめた 宝の箱がある。 ◆光と風を読みながら知恵とチカラで育てられた大地の恵みは、家族の健康と成長を願うお母さんの魔法により、おいしい 宝物に生まれ変わり、まち中に届けられる。農家のお母さんの知恵がいっぱいつまった生活弁当は、世界でたった一つの その日限りの瓜連の大地の博物館である。 |
瓜連へ行ったら、ぜひ食べてみてもらいたい ものがある。 それは、JA常陸瓜連加工所で、お母さんたちが つくる日替わりのお弁当である。 |
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加工所に一歩足を踏み入れると、おいしそうな においで食欲がわきあがってくる。 テーブルには、お弁当がずらりと並んでいる。 ざっと50個はあるだろう。 |
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ご飯入りの幕の内とおかずだけのお弁当。 瓜連では、ご飯だけ家から持ってくる人も いるからそれにあわせてこのカタチになった。 いまちょうど、これからからあげをつめる ところである。 ご飯は最後に炊きたてを...というのが お母さんのこだわりである。 |
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今日のメニューは、鮭の塩焼き、鶏のからあげ、 煮たまご、マカロニサラダ、野菜(玉ねぎ、 にんじん、ピーマン、ごぼうはどれも採れたて である)と豚肉の炒め餡かけ、ナスの煮浸し、 しば漬け。 そして瓜連の田んぼでとれた炊きたてご飯の まん中には、手づくりの梅漬けがのる。 着色していないから、梅そのものの色が 出ている。 そしておいしい!これが本当に! |
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毎日、市役所などから注文が入る。 一日平均は50個。法事、集落の行事には 盛皿料理もつくる。 遠足にはおにぎりだ。 メニューは一週間単位の構成で、前日と 重ならないように工夫している。 |
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お弁当の注文が350~400個入ることもある。 そういうときは朝4時に出勤する。 コンビニ弁当とはちがい、余計な添加物は 使われていない。 そして、ほとんどの食材は地元でつくられた もの、野菜は、お母さんたちの手づくりである。 |
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生活弁当には歴史があった。 農家へ嫁いできたけれど、農業も農家の 暮らしも知らなかったお母さんたちの手習い からはじまった。 |
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彼女たちは、農について何一つ知らなかった。 知らないコトを知りたいと思う人たちが集まって、 作物の種類について勉強した。 いつどのように種をまき、それを育てて収穫 するのか。 農作業の初歩の初歩から勉強し、互いに 学びあった。 |
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お母さんたちは、農の知にふれることで、 学んだ成果を活かすことで、とびきりおいしい 野菜をつくることができるようになった。 そして、おしみないほどの手間をかけて つくられるお母さんたちの手づくり野菜は、 スーパーで売られているような利潤を うみだすために大量に生産している野菜 よりもはるかにおいしかった。 |
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学びが深まっていくと、塩やしょうゆ、酢など 普段あたりまえに食べている調味料にも 興味関心がひろがっていった。 そして、素材の良いモノだけを選び、添加物を 一切使用しないお母さんたちのこだわりの お弁当ができあがった。 |
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お母さんたちの農の学びは、人と人、人と 情報を結び、料理や家事の相談に、そして、 お母さんたちの結びつき、新しい生きがい、 やりがいにまで発展していった。 |
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「千切り大根やかんぴょうも手でつくるのよ」 「機械を使わないで手で切ると味がちがって くるから」 「干しシイタケは日光を浴びることが大事なの」 今日の生活弁当を指さしながら、お母さんは、 うれしそうに教えてくれる。 |
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お母さんたちは、学校への出前授業もしている。 この頃、休耕田が増えている。それを解消する ためにはじまったソバの栽培をきっかけに、 保育園の子どもとお母さんを招待するソバの 教室を開催した。幼稚園や学校からの要望が あいつぎ、いまでは人気の出前プログラムに なっている。 こんなぜいたくな食べ物をいただくことができる のだから、瓜連の子どもたちは幸せである。 |
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「今の時代にあうようにするにはどうしたら いいのだろうね」 「最初に始めた人たちは90代になったの」 「今活躍しているのは、60代から70代」 「この前、20代の人もやっと一人、お弁当を 手伝ってくれるようになった」 生活弁当で町に元気を届けてきたお母さん たちの次の課題は、この活動を新しい世代に 引き継いでいくことにある。 |
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みんなの美味しい顔が見たいという思いを 実現するために、今日もお母さんたちは がんばっている。 このお弁当は、瓜連の大地の恵みとお母さん たちの知恵がいっぱいつまった宝の箱である。 |
JA常陸 瓜連加工所 住所:〒319-2102 茨城県那珂市瓜連229-8 電話:029-270-9130 FAX:029-270-9131 |
2015年3月20日 発行