瓜連まちの風土記 第22巻
古徳沼と自然
【古徳沼の野鳥の声】 生命のミュージアム 多様な生命を集め、結びつける 水辺のチカラを感じることができる |
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◆もともと古徳沼は、農業用のため池だった。1966年に3羽のハクチョウが飛来した。 ◆餌付けに成功してから年々数が増え、現在ではハクチョウの飛来地として有名になっている。 ◆古徳沼の背後には、護岸工事がされていない自然林が形成されている。バードウォッチングや写真撮影には最適な空間である。 ◆白鳥以外にもマガモ・カルガモ・ホシハジロ・キンクロハジロなどを観察することができる。 |
古徳沼は静かな瓜連のまちの中では少し 変わった場所である。 1966年に3羽の白鳥が飛来してから、 まちの有志が餌づけを重ね、日本有数の 白鳥の飛来地として名を馳せるようになった。 そして、ふだんは、静かなまちが、その時期は 大きなにぎわいをみせるようになった。 |
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古徳沼は元々、江戸時代の人々がつくった 農業用の大きなため池であり、最初から人の 手によってつくられて整備されていたため、 人の手を入れやすい環境であったともいえる。 |
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現在、沼のまわりは通年きれいに整備され たくさんの自然に囲まれている。 これは白鳥の飛来を助けるよう、毎年まちの 人々によって行われる、年に1度の大がかりな 周辺の山林伐採や草むしり、日々の清掃に よって保たれているもので、決して野放しに された自然ではない。 |
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実際にそこに立つとわかるが、古徳沼には そういった適度に人の手が入った快適な自然 といった側面がある。 |
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日々の清掃活動とは別に、年に1度の古徳沼 周辺清掃は田畑の繁忙期を避けた3月下旬、 町中総出で行われ、消防や警察等行政をも 巻き込んだまちの一大事業となっている。 |
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はじめは個人で始めた白鳥の餌づけが、 飛来数の増加に伴い、町外からのバード ウォッチャーを多く集めるようになったことで、 まちの事業に転向していった側面があるようだ。 ともあれ古徳沼周辺環境の維持・管理は瓜連の 人々の善意と努力によって保たれていると いってよい。 |
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適度に人の手が入った古徳沼は白鳥だけでなく、 様々な生き物にとって居心地のいい空間だ。 鳥だけでもマガモ・カルガモ・ホシハジロ・ キンクロハジロなどバラエティー豊かに集まる。 |
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人に馴れていることもあって、理想的なバード ウォッチングが可能となっている。 鳥以外にも小さな動物たちが顔を見せることも あり、豊かな水辺の生物多様性が実現されて いる。 |
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湖畔にはベンチがあり、近所の生活者たちや、 訪れた人々の憩いの場となっている。 白鳥の飛来時期だけでなく、整備された水辺は そこで生活する人々にとっても大切な場所となり、 ふらりと訪れた人間をも魅了する魅力にあふれて いる。 |
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実際初めてそこに訪れた際、白鳥とは関係なく、 居心地のいい場所だと感じた。 特別な手段を講じていなくても、整備された環境 ということで自然と集まる生き物が数多く存在し、 それらを眺めているだけでも飽きない。 |
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特に店や箱モノの施設があるわけではなく、 そこに集ったまちの人達と話をしたり、動物たちの 生き生きとした姿に接する場であるということが 重要なのだ。 |
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人との健全なコミュニケーション、言葉を介さない 動物たちからの癒やしで、疲れた心に栄養が 入り、明日への元気がわいてくる。 ここは人間だけでなく、野外の生き物すべてに 開かれている魂のサロンなのだ。 |
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白鳥の飛来はきっかけだったに過ぎないの かもしれない。 今、瓜連の人々が古徳沼を愛し、心を込めて 整備することで救われている生き物、人の心は 少なくないかもしれないと思うのである。 |
2015年3月20日 発行