瓜連まちの風土記 第23巻
古徳沼と自然
【古徳沼の水辺の景観と植物】 生命が集う博物館 生命を魅了する水辺のチカラ |
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◆古徳沼は昔からそこの地域の人々に愛され続けている。 ◆地域の人々だけでなく植物や鳥などの動物、虫などたくさんの人やモノたちから愛されている。 ◆古徳沼には、多様な生命を引き寄せる秘密がうめこまれている。 |
古徳沼は、白鳥の飛来で語られることが多い のだが、水辺の生態系の豊かさもたいへん 興味深い。それらもまた瓜連の人々が、時を 超えて手を入れてつくりあげたものである。 |
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ふところの深い多様な自然は、ありのままの 自然、すなわち放置したままの空間で整うような ものではない。観光地のそれのように、人工的に つくりこんでできるようなそれではない。人の 暮らしと密接に結びついて、適度に入り、時間と 手間をかけて守り続けてはじめて形成される ものである。 |
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里山を整え、多くの生き物と共存してきた日本人 はいにしえの時代から、そうした世界を整える ことに長けた能力を発揮してきた。 ところが、そうしたチカラは年々衰え、忘れられて いく傾向にあるように思う。 そうであるからこそ、人がつくった古徳沼を糸口 にして、日本人の遺伝子に組み込まれたその チカラを思い出す旅に出かけてみよう。 |
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瓜連のまちの中心から古徳沼までの道は、 広大な田畑をまっすぐ貫いている。 その自然豊かな道をのんびりと歩いていく だけで、道草が茂り、小さな生き物たちが 動きまわってたくさんの足あとをみつける ことができる。 |
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自動車や自転車の通りも少ない道を歩いている だけで、田園風景の静寂を楽しむことができる。 隣を吹きぬけていく風の音やにおいを感じる こともできる。 そして、瓜連の静けさを体験してみるだけで、 いま私たちが生きている情報過多の世界の 限界がみえてくる。 |
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古徳沼は集日を小さな山に囲まれている。 天気のよい日には水面が光り、より美しい 風景となる。 沼の奥の山から吹き下ろす風はするすると 肌を滑り心地よい。どこからか緑のにおいや 花の香りが届いてくる。 沼面を観察していると、鳥が何羽も泳いだり 水浴びをしている。彼らが奏でる小さな水音が ここちよく聞こえてくる。 |
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ここは、本当に大切なモノだけでつくられた ミニマムな世界で、人の心をしずめ、解放する。 目に映るモノ、静寂の中のかすかな物音、 自然の香り、心地よくからだを包み込む大気を 感じ、五感が研ぎ澄まされていくような感覚を 味わうことができる。 |
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古徳沼はいろいろな鳥が季節ごとにやってくる。 それゆえ、バードウォッチングポイントとしても 有名で、まわりの風景とともに写真におさめる 人々が後を絶たない。 |
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はじめて聞く鳥の声もあれば、はじめて姿をみる 鳥もある。冬にはオオハクチョウ・コハクチョウ、 ホシハジロなど有名どころもやってきて、鳥たちの 社交場に姿を変える。 そして、昔も、そして現在も変わらずに鳥たちは 古徳沼を訪れ、帰ってくる。 古徳沼は、鳥たちにとってのふるさとになって いる。 |
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そして、古徳沼周辺は、アシやヨシが生い茂った 多様な自然の美を堪能できる。 そこに、ゴミがまったく落ちていないことに驚かさ れる。そして、つくり込まれた庭とは異なる美しさと それを維持してきた人々のチカラを感じることが できる。 |
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沼のほとりは人々の憩いの場であり、まちの 人々は沼を汚さないよう、まちを汚さないよう、 常に気を配っている。 |
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地域の人々があたりまえのことをあたりまえに することで整えられた環境だからこそ、鳥は たくさん飛来し、植物ものびやかに生い茂り、 いろいろな虫や生き物が集まってくるのだろう。 |
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多様な自然の美と、それを維持してきた人々の チカラが織りなす、多様な生き物の共存する 世界、それこそが瓜連の宝物である。 あなたも、忘れかけた自分のチカラを思い出す 旅に出かけてみてはいかがだろうか。 |
2015年3月20日 発行