瓜連まちの風土記 第28巻
静神社と静駅
【静神社】 ふるさとの人々の夢と 繁栄をかなえる神社 クニやムラそしてイエを元気にする 思いが集う森 |
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◆常陸二ノ宮で、機織りの神様である建葉槌命を祭神とし、瓜連のシンボル帝青山に祀(まつ)られている。 ◆豊穣やモノづくりなど人々の暮らしを励ます神々を祀っているため、お静さんとし崇敬され、全国の機織業者の信仰を集め、織姫像が奉納されている。 ◆静神社には、関東平野の丘の上にあって、遠く太平洋から見え、船乗りたちの目印になっていたという物語もある。 ◆静神社をそぞろ歩けば、先人たちが小高い丘へ抱いた夢とロマン、そして暮らしを輝かせるための幸せの物語に出あうことができるだろう。 |
地平線がみえる瓜連のまちは どこにいても小高い丘がみえる。 その中でも稜線が美しい帝青山は とびきり輝いてみえ 目印になる。 |
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この丘に神々が舞い降りてきて 幸せを降り注ぐ という物語が誕生するのは 必然だと思う。 |
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静神社には、かつて三つの神社があり それを取り囲むように 七つの寺院が配置されていたという。 それだけ強力な パワースポットとして 注目されてきたのだろう。 |
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神社の周辺には 下宿、中宿、門前 という地名がのこされている。 藤屋、伊勢屋、池下屋などの屋号もある。 この土地は、遠い昔から 人々にとって信仰の地であった。 その足あとがいたるところに記録されている。 |
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小高い丘に形成された黒い森 静神社のチカラと育まれた物語の 秘密を探しながら歩いてみた。 大鳥居の前に大きな池がある。 大鳥居をくぐって長い階段を上りながら 森に近づくと心があらわれていく。 |
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人々が奉納したたくさんの石碑が 視界にはいってくる。 静神社が人々に敬愛されている 様子を確認することができる。 ひろい境内に入ると 千年の時を超えてこの神社が ふるさとの人々に愛され生き続けてきた あかしを探すことができる。 |
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拝殿に向かって左手前に御神木がある。 火災で枯れ、地上4メートルを残して、 屋内に収納されている。 枯れた当時で樹齢千年になるという幹の 太さから、その迫力は十分伝わってくる。 私は、腕を失ってしまった美術品のカタチを 想像するのと同じように、幹の先がどのように 続いて、どのようなカタチをしていたのかを 思いうかべながら、その前で立ちつくした。 |
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東京織物御商業組合が奉納した 織姫像がとても気に入った。 この織姫蔵の存在ではじめて、 瓜連の地が織物の発祥の地で、 静織の里という言い伝えが あることを知ることとなった。 |
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本殿の裏に 森の奥に続く小さな道があった。 手接足尾神社入り口という 小さな看板があった。 そこには小さな社が見えた。 |
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その名前から読み取れるように 健康、特に手足の安全を祈願する神社である。 境内の奥の向こうまで続いている 暗い森にひっそりとたたずむ小さな神社に 千羽鶴や松葉杖 草履やギプスなどが そっとお供えされている。 |
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人の気配も感じることがない 森の奥にあるにもかかわらず けっして荒らされても 汚れてもいなかった。 とても参拝しやすいとはいえない 場所にある小さな神社であるのに きれいな状態であるのはなぜなのだろう いろいろと考えさせられた。 |
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それは、静神社が、地域の人々に愛され 守られている証であると確認した。 静神社の周辺には この土地に暮らしている人々の あたたかさややさしさが 刻み込まれている。 そぞろ歩けば それらに出あうことができる ステキなところである。 |
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基礎情報 |
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2015年3月20日 発行