瓜連まちの風土記 第46巻
人とシゴト
【お母さんのチカラ】 ふるさとのあしたを元気にする 魔法 ふるさとのあしたを担うこどもの心に 夢を育む種まきをする女性たち |
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◆ふるさとのあしたを担うのは、その土地に生まれ、暮らしている子どもである。だからこそ、ふるさとのみんなでチカラをあわせて、感性が豊かで生きるチカラを身につけ子どもを育てよう。 ◆そんな志を持った子育てに奮闘した経験も豊かなお母さんたちが、互いに学びあい、読み聞かせを中心にした活動を展開している。 ◆学校や幼稚園に出前してお話の種をまく彼女たちの活動は、瓜連の子どもたちに夢を与えている。ふるさとの未来を輝かせるのは、お母さんのチカラである。 |
「こんにちは」明るく気さくに接してくれたこの 女性は、瓜連おはなしの会ルピナスの 代表者、外山ヒサさんです。 外山さんは主に那珂市を中心とした幼稚園、 小学校、中学校、学園保育などで毎月 定期的に本の読み聞かせを行っています。 |
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瓜連小学校に出張し、朝8時から15分間 生徒たちに読み聞かせをしているという話を 聞いたとき、私も小学生時代・中学生時代の ことを思い出しました。 やはり私の学校でも、朝8時から15分間 読み聞かせをしてもらいました。読み聞かせに 参加した人は、保護者であったり、外山さんの ようにプロの話し手さんでした。 |
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外山さんは「本は目で追って読むのではなく、 人に読んでもらうのがいい。音の響きや絵 などが味わえるから読み聞かせはいい。」 と仰っています。 |
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思い返せば、当時読み聞かせをしてもらった 絵本は不思議と今でも覚えています。 自分で本を黙読するよりも人に読んでもらった ほうが本の内容が心に残ると思いました。 |
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いま全国で、読み聞かせをする人が年々 減少しています。 外山さんは、保護者にも積極的に読み聞かせ に取り組んでほしいと思い、保護者のための 読み聞かせ活動をスタートさせました。 |
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ところが生活スタイルが多様化して、仕事に 忙しい人がいたり、土曜日のスポーツ少年団 への参加を優先する人が多く、なかなか人が 集まらなくなってしまいました。保護者のため の講座はいま休眠中です。 |
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私の小学校では、毎朝読書の時間が ありました。普段から自分で読みたい本を 一冊持ち歩いていました。50冊、100冊と 目標を設定し、それを達成した人には、 賞状が贈られたりしていました。そんな学校 で学ぶことができたおかげで、小学校のとき からいろいろな生活シーンで本と触れあう ことができました。 |
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いまでも私には、プロの話し手さんを学校に 招いて、約1時間近く読み聞かせをして いただいた記憶や熱心な保護者の方が、 毎朝学校に来て読み聞かせをしてくださった 記憶が、鮮明によみがえってきます。 |
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「こどもの心にお話しを聞く喜びや絵本を 読む楽しさの種まきをしていきたい」 「ただ種まきをしても育たない。種をよく 選んで毎回違ったお話を提供して育てる」 という外山さんのことがとても印象に のこっています。 |
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適当に本を選んで読み聞かせをするのでは なく、読む本もきちんと選ばなければいけない ということです。 |
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外山さんに、どのような絵本がおすすめか うかがいました。 「シナのごにんきょうだい」 「ちびくろさんぼ」 「ちょっとだけ」 |
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外山さんは、石井桃子さんの作品をすすめて くれました。そして、私たちに、多くの人々に 世代を超えて読み継がれてきた定番の絵本の よさをわかりやすく教えてくれました。 |
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昔から読み継がれている本はとても良い絵本 です。お父さんもお母さんも、おじいさんも、 おばあさんもそれを読んでもらってみんなで 感動し、成長の糧になってきた本です。親と 子が思い出を共有するためにも、子供が成長 する中で必ず読んでほしい、経験してほしい、 味わってほしい絵本であると私も共感しました。 |
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子供は絵本が大好きです。どんな絵本でも 読んであげると喜びます。 そして読んであげるのなら、聴いている言葉 から自然に文体感覚が身につく、美しい 日本語で書かれた本を読んであげて下さい。 見ている絵から自然に美的感覚が身に付く ようなデッサンのきいた絵で描かれた良い 絵本を与えて下さい。 |
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子供の成長に欠かせない良い絵本を、失敗の ないように、大人が選別し子供に読み聞かせを してあげることが大切なことなのだと実感でき ました。外山さんを中心とした、お母さんたちの 活動、お話の種まきがこれからもずっと続いて いってくれたらと思いました。 |
2015年3月20日 発行