額田まちの風土記 第4巻
額田城跡保存会
額田を愛する 生きるチカラを育む学芸員 |
このまちには昔、 額田城というお城があり、 城あとを整備して額田のまちの歴史を みんなに楽しく知ってもらう活動を している額田城跡保存会がある。 その会員の1人に、 小田部一彦さんという人がいる。 |
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小田部さんは、 額田城跡保存会の広報を担当し、 「額田歴史の散歩道」 という本を制作し、 観光ボランティアとしても 活躍している。 小田部さんには、 額田のまちを案内しながら 自身の過去についても いろいろと話していただいた。 |
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背中に大きく「額田藩」と書かれた 紫色のTシャツをまとい、 頭には一番のお気に入りという 帽子をかぶり、 スポーツバッグを肩からかけて とても楽しそうに 私たちを案内してくれた。 |
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真夏の太陽が照りつけ、 立っているだけで 汗がふきでてくる暑さの中 額田城と額田のまちの素晴らしさを 笑顔で楽しく説明してもらった。 小田部さんが、 額田城跡を歩く後ろ姿は、 なぜかとても大きく見えた。 |
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小田部さんは小さなベンチに 座ったので、その隣に座ると、 いろいろと私に話してくれた。 小田部さんに 元気の理由を聞いてみると、 孫と遊ぶことという答えが かえってきた。 お孫さんの話をする小田部さんの 姿は、やさしさであふれていた。 |
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小田部さんとの会話は楽しい。 「君はスポーツをやっているのか。」 と聞かれたので野球をしていることを 伝えると、小田部さんはかつて 額田の少年野球のチームのコーチを していたことを話してくれた。 土日は子ども相手に バッティングピッチャーを やっていたという。 |
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額田の少年野球チームは、 それほど強くはなかったらしいが、 ベネズエラや南米のチームと 試合をした時のことを なつかしく話してくれた。 水洗トイレがなかった時代に、 外国の人を泊める苦労話は、 おもしろかった。 |
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小田部さんと一緒に歩いていると、 すれちがう人はみんな声をかけてくる。 そしてまちの人に、 今日調査のためこの額田を歩いている 私たちをみんなに紹介してくれる。 |
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額田のまちは、みんなが知りあいで、 みんなが家族みたいなもんだ と教えてくれた。 |
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私たちは、小田部さんから 額田のまちの歴史を いろいろ教えてもらった。 しかしそれはもちろんのこと、 あいさつの大切さ、 人と人のつながりなど 生きるために 私たちが持たなければならない 大切なヒントを 教えてもらった気がした。 |
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今日小田部さんからいただいた体験と 1つひとつのことばから、私は、 ふるさととつながることの大切さ、 過去と現在、そして未来を 結びつけることの大切さ それを 知ることができたような気がした。 |
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小田部さんは、私たちのような若者に ふるさとで生きることの大切さ 未来へ夢をいだくための ヒントをみせてくれる 人生の学芸員であると思う。 |
2017年2月13日 初版第1刷発行 | |
取 材 | :沖杉 恒輝、井関 翔平、東條 司、谷中 規彦 |
著 者 | :沖杉 恒輝、井関 翔平、東條 司、谷中 規彦 |
写 真 | :沖杉 恒輝、井関 翔平、東條 司、谷中 規彦 |
編 集 | :斎藤 莉緒奈 |
発行者 | :日本地域資源学会 |