額田まちの風土記 第5巻
額田のまちの景観
額田はまちのすべてがミュージアム |
暑い日ざしの中、 森に囲まれた駅に降り立った。 青い空と深みどり。 ここから物語ははじまっている。 駅に人はなく、後ろには 木々が茂った山々がそびえていた。 |
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まっすぐ伸びる道路に少しの民家。 人影もまばらだ。 まさに のどかな田舎という感じであった。 |
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しばらく歩くと 森への入り口があった。 なんだか冒険の始まりのようで ワクワクとした気持ちが 胸に浮かんできた。 いままでアスファルトを 踏みしめていた足で森に入る。 |
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入って1番の感想は、涼しい! 足元には土と草。 さっきとはちがって まるで登山をしている気分である。 |
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まわりを見渡すと緑、緑、 まるで何百年も前の昔にいるような 気持ちになって来た。 昔の人もこんな気持ちで、 この風景を見ていたことを 想像しながら歩いていた。 |
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きっとあなたも吹き抜ける風に そんな気持ちにさせられるだろう。 足元を見るとキノコや虫がいた。 彼らもこうやって何百年も前から この土地で生き続けてきたのだろう。 顔を上げると百合の花に様々な木々。 彼らもまた同じだ。 |
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山の中を歩いて行くと 小高い場所にまで来た。 周りの木々から見える風景には 田んぼが混じっていた。 ここに住む人々もこの地で 田んぼや畑を作って生活している。 ただの自然ではない 人と自然が融合した風景に 歴史を感じた。 ずっと人とこの地の自然は 共存共栄しているのだろう。 |
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そんな思いを抱きながら、 さらに森の奥へすすんでいった。 城あとだからお城が今 建っているわけではなかった。 しかし実際に歩いていることで お城の中にいるような気がしていた。 山の中をさらに歩くと 水が湧き出ている場所があった。 こういうところからも 何百年も前から続く 額田の息吹を感じた。 |
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やがて森を抜けると また額田のまち中へ出た。 しばらく歩いているとお寺があった。 額田には 神社やお寺がたくさんあった。 昔から地域の人々に 必要とされていたのだろう。 ここにも歴史の残り香を感じた。 |
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そして額田のまちには お店は少ないものの 人がひっきりなしに入っているお店や ずっとこの場所で地域の人々に大切に されてきたのだなと感じる店があった。 人がひっきりなしに訪れるそば屋の 名物は大根そばだった。 |
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これを求めて 遠くから来る人も多いそうだ。 これも額田の魅力の1つだろう。 地域の人だけでなく その他の人々も訪れる。 額田には たくさんの魅力が詰まっている。 あなたも是非 この魅力を肌で感じてほしい。 |
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そして、1日ずっと額田のまちを 歩いていて気づいたことがあった。 私たちが歩いていた、あの山の中 だけが「お城」なのではなくて、 私たちがいるこのまちすべてが お城だということだ。 城を中心に その敷地内にひろがる様々な歴史、 それを私たちは感じていたのだった。 そして額田のまちの人々、 彼らもまたお城の中に何百年も前から ずっと生きているのだ。 ずっと続いてきた歴史の中のまち、 額田。 人と自然が共存共栄して、 たくさんのお寺や神社がある。 なんて素敵な場所なのだろうか。 ぜひあなたも額田を訪れて その魅力を感じ取ってほしい。 |
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■額田城とは 額田城跡は、額田台地の南東部に所在する。標高27m。本丸跡は、7~8mの深壕に囲まれた山林で 面積約16,000㎡。さらに二の丸・三の丸壕と土塁まで含めた総面積は約77,000㎡、中世の城跡と して現存していることは、県下でもめずらしい。城館の歴史は、建長年間(1249~1256年)佐竹氏 4代義重の2男義直が築城し、額田氏を称した時からはじまる。10代義亮の時、額田氏は亡ぶ。 その後、義人の家臣小野崎氏が額田城主となり、以降7代照通まで続いたが、天正19年(1591年) 佐竹氏20代義宣に、照通に異心ありとし、攻められ落城、照通は陸奥へ亡命し、以降廃城となった。 |
2017年2月15日 初版第1刷発行 | |
取 材 | :福田 莉子、竹内 千聡 |
著 者 | :福田 莉子 |
写 真 | :堀内 瑠那、竹内 千聡、福田 莉子 |
編 集 | :佐藤 里香 |
発行者 | :日本地域資源学会 |