額田まちの風土記 第15巻
岩谷工芸
幸せを育む木の温もりを暮らしに |
はじめに 日本では昔から 木とともに生活してきた そして、あなたの生活の中にも きっと木はある 木の温もりにふれ 木のにおいをかぎ 木の音をきく 日々の生活にあるものとは ちょっとちがう 木を感じてみませんか? |
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昔ながらの家々がならぶ 細い道を歩いていると 小さな工房を見つけた。 |
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草むらにおいてある たくさんの木材が 優しい日の光を反射し やわらかな光をはなっている。 |
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木くずがまい 木を削った時の 少し香ばしいにおいがただよう 工房に足をふみ入れた。 |
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あちらこちらに様々な木材がある。 どれも似ているけれど それぞれ異なる特徴を持った 特別な木。 |
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光がさしこむ室内で 岩谷さんは作品を製作中。 岩谷さんの作品はどれもユニークで 木そのものの美しさを 大切にしている。 |
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木のスピーカーは 岩谷さんオリジナルの芸術。 材料は木のみ。 木が音がとおる道を邪魔しない 特殊な構造。 |
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スピーカーからひびく音には 木のやわらかさと やさしさがつまっていて きく人の心を温める。 |
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岩谷さんは設計図は描かない。 頭の中で想像してつくってしまう。 どのような線で どのような弧を描いて どのように合わせるのか すべてが体にしみついている。 |
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たくさんのカンナを使いわけて 作品に合った線を削りだす。 現在は機械でカンナがけができるが 人の手でかけた方が あでやかでなめらかな面が生まれる。 |
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接着剤ではりあわせるのは 簡単である。 でも本当は人の手で きれいにカンナをかけてやれば 接着剤を使わなくとも 木はくっつきあうんだよ。 岩谷さんはそう語った。 |
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ふと工房を見渡せば 様々なものが目にうつる。 岩谷さんが使いやすいように 好きなように配置した道具たち 岩谷さんだけの特別な空間。 |
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この作業台も 岩谷さんの手づくりである。 自分にあうものが 見つからなかったので、 好きなようにつくりあげた。 |
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時々娘さんや 近所の子どもたちを呼んで 木工教室を開くそう。 刃物をあつかうため 子供に教えるのは ちょっと大変だけどね。 そう語ると 岩谷さんはやさしく笑った。 |
2017年2月13日 初版第1刷発行 | |
著 者 | :真山 知栄 |
写 真 | :真山 知栄 |
取 材 | :真山 知栄、藤来 雅貴 |
編 集 | :畑岡 祐花 |
発行者 | :日本地域資源学会 |