額田まちの風土記 第18巻
河内屋酒店
ふるさとを見守るお酒屋さん |
額田城や多くの寺や神社がある 額田地域。 自然が多く、空気のすんだ風景と 住民の生活風景が どこかなつかしく感じる。 |
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額田の北に ひっそりとたたずんでいるのは、 河内屋酒店である。 大きな看板が印象的である。 |
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周辺にとけこんだ外装、 外にならんだアイスケース、 自販機を雨から守っている屋根、 それらがリンクして、 なぜかあたたかさを感じる。 |
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河内屋酒店の看板は、 いまではあまり 見かけることがなくなった縦長で、 なんと3つも建てられている。 そのうちの1つは向かい側にあり、 茶色くさびついていた。 |
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開業した頃、 向かい側でお店を営んでいたらしく、 そのままそこに置いていたら年季の 入った看板になってしまったという。 そんな昔の話をしてくれたのは、 河内屋酒店で働いている沼澤さん。 |
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お店に入ると、 お酒屋さんならではの香りが 鼻にはいってきた。 お酒屋さんなのに、 商品棚の半分以上は 生活用品や食料品が占めている。 |
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わざわざ遠出をしなくても 近所のおじいちゃん、 おばあちゃんが お茶会のついでに寄って、 商品を買っていくそうだ。 |
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河内屋酒店では、 額田という地名にちなんだ お酒を販売している。 「額田城」「額田藩」「万姫」 「市十郎」という額田オリジナルの 日本酒が4種類ある。 額田への愛をカタチにしたのだろう。 |
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河内屋酒店の血筋をたどっていくと、 徳川家康の養女である万姫の夫、 市十郎の血筋にたどりつく。 そういう歴史があるから、 額田への愛情は誰にも負けていない。 |
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河内屋酒店は、 明治40年頃に創業された。 昔はご用聞きと配達に よく行っていたらしい。 常連が年をとって、 なくなったりして、配達することも なくなってきたらしい。 最近は、常連さんがたまに顔を 出しては、おしゃべりをしていく。 そういうお店になってきたという。 |
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ご主人から そのような物語を聞いていると 常連さんのおばあちゃんが やってきた。 私たちを不思議そうに見ていたが、 少しお話をすると、まるで 額田へようこそと言わんばかりに 満面の笑顔を返してくれた。 |
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昔からふるさとの人々に 愛されてきた河内屋酒店は、 ふるさとの人々が訪れ、 話のタネがまかれ、 それが花ひらくところである。 お店のお酒の香りに 酔ってしまったのか、 あたたかい雰囲気に 酔ってしまったのか、 私はほろ酔い気分で お店をあとにした。 |
2017年2月13日 初版第1刷発行 | |
取 材 | :伊関 翔平、沖杉 恒輝 |
著 者 | :伊関 翔平、沖杉 恒輝 |
写 真 | :伊関 翔平、沖杉 恒輝 |
編 集 | :畑岡 祐花 |
発行者 | :日本地域資源学会 |